芝村さんのバカ発言について (2015年7月31日)


 最近、芝村さんが炎上している。
地味に長く芝村作品のファンとかをやっていると、よくある話ではあるのだが、ちょっと気になることがあった。
 ちょっと個人的に書いてみようと思う。

 芝村さんとは、芝村裕吏という人物のことである。ゲームデザイナーだったり小説家だったり漫画原作者だったりする、
仕事が多くて忙しそうな、最近は締め切りに追われている酒好きで物知りのおっさんである。かなり大雑把に説明するとそういう人物だ。
 なんか邪悪な陰謀家らしいという噂を聞くたびに、「いや、その人、毎月執筆の締め切りでリアル忙しくて長期間のゲームすら出来ないんだが……」とか遠い目にならないでもない。

 で、芝村さんの関係している仕事のひとつに、刀剣乱舞というソーシャルゲームがあり、芝村さんは刀剣乱舞の世界観監修や脚本担当の一人である。
とはいえ芝村さんの好き勝手に脚本を書けるとか、そういうことは全然ないらしく、書いた脚本が通らなかったとかもあったらしい。まあ、企業なのでそういうものだろう。

 ……かなりどうでもいいが、自分も芝村作品を追いかけている関係上、(男なのに)刀剣乱舞を遊んでいたりする。
 芝村作品ファンとはいえ、何が悲しくて美人も美少女もいない野郎ばかりのゲームやってるんだろうと遠い目にならないでもない。
なんだ美少女もいるじゃないですか流石だぜニトロプラス、とか喜んだら乱だったとかしつつ、ちくちく検非違使と戦ったりしているがドロップは全然来なくて……

 閑話休題。
 その芝村さんが、コンテンツ文化史学会というニコニコ動画の生放送(http://live.nicovideo.jp/watch/lv222477103)に呼ばれたのが、
2015年5月30日のことである。
この放送中に、芝村さんが刀剣乱舞の例え話で大東亜共栄圏を作れるといいね的な発言をしていたのだが、2カ月ほど経った後でツイッターで突撃した人がいたようである。
 大東亜共栄圏というのは第二次大戦中の日本が海外に侵略などする際に掲げていた経済構想らしいのだが、不謹慎な単語を使ったので海外の人に謝罪しろ、という流れで炎上したらしい。

 まあ、経済構想の意味で使ったら、過去の日本の侵略や戦争を肯定しているのか、みたいに誤解されたオチだと思う。

 ニコ生の放送は自分も観たが、特に政治がどうこうとかの気配は無く、基本的に刀剣や歴史上の人物のあれこれに関する話題に終始している。
芝村さんの話も普通に面白いし、コメントを見る限りでは視聴者も好意的に感じているように思えるのだが、この流れで
過去の日本の侵略や戦争を肯定しているように見えたらしい。
もしかしたら実際に動画を見てなくて、その部分だけ文章化されたものを読んで別の印象を受けたのかもしれない。


 しかし正直なところ、この動画の流れで大東亜共栄圏という例え話に使った言葉ひとつで、
芝村さんは過去の日本の戦争や侵略を肯定している! とか、このままだと刀剣乱舞のプレイヤーは芝村さんの思想に賛同させられるようになる! とか、
そこまで妄想を広げられるってある意味凄いなと正直引かないでもない。まあ、終戦70年でTV番組もそういった特番多いし、安保法案とかニュースでやってるし、
戦争が悪いのも確かだし、そういうので激しく反応する人もそりゃいるだろう。ゲームとは関係ないが、戦争反対や侵略反対は頑張るべきだと思うし、
芝村さんも誤解されやすい言葉を使ったのは良くないと思う。

 とはいえ、芝村作品を遊ぶと気付かないうちに侵略戦争を肯定させられている、とかの妄想については、ファンとしてはかなり怒るところだ。
 むしろ芝村さんのゲームや小説の作品は、戦争なんてろくなもんじゃないという内容ばかりである。

 大人の代わりに少年兵達が戦争することになってしまった話とか、戦後経済の破綻と不況からまた戦争が起きてしまうのをどうにかする話とか、
 自分のせいで少年兵になった子供達を頑張って日常に戻そうとする話とか、ネットの誹謗中傷を消そうと頑張っていたら軍国主義者が暴走したのを止める話とか、
 あと、芝村さんが小説の売り上げの一部を海外の少年兵問題に募金してるとか……

 こういう部分を無視して、あるいは例え話からの誤解であると知りながら、政治信条がこうだからあいつはこうだとか侵略肯定とか言うのは、それこそ芝村さんやファンに対する悪い歴史修正だと思う。

 ……それはそれとして。
 冒頭の、気になることについてである。ここまでは経緯説明と個人の見解であり、本題なのはここからである。
 この件について、以下のツイッターの発言をまとめているサイトを見たが、かなり気になることがあるのだ。

・芝村裕吏氏の大東亜共栄圏発言についてのまとめ
 http://togetter.com/li/851259

 どの部分かというと、大東亜共栄圏とかではなく、それとは直接関係のない冒頭の部分である。

/*/

@siva_yuri
 でも、私は賢者よりバカをはべらすほうが好きです。愚かでいいじゃない。賢いことにどんな意味があると、常々思います。
 私の尊敬するすべてのゲーマーは、ゲーマーである時点でだいぶ愚かですが、私はそれこそを愛しております。
 そこをご理解いただければ。

@Azuma_Matsu
 クリエイターとその作品の信頼関係って、まずクリエイターが受け手のリテラシーを信じるところから始まると思っているので、
 芝村氏のこの発言は私には受け入れられないです。どんなに愛してようと「ゲーマーはバカ」という主張に読めるので。

@siva_yuri
 ゲーマーはバカですよ。自分の事で恐縮ですが、ドラクエ4の時徹夜で並びましたし。
 ゲームについて友人というか海法と徹夜で大喧嘩もしましたし。ゲーセンノート書いてましたし。リテラシーという意味での頭がいいとは別次元でバカなのです。  

@Azuma_Matsu

 返信いただきありがとうございます。しかし私は「馬鹿をはべらす方が好き」という言葉の選び方に相容れないものを感じます。
 それにご自分だけでなく、ゲーマー全体のことのように言われたのは何故なのでしょう? 私には理解できかねます。
 私はいちゲーマーとして、芝村さんの言葉で「バカ」と括られたことに不快感を覚えます。

@siva_yuri
 返信遅れてすみません。仕事しておりました。
 元の文を読んでいただければお分かりと思いますがバカの言葉が掛かるのは私の尊敬するゲーマーであって、他意はございません。
 その上でのお話なんですがこんな時間にゲーマーについて語る我々は世間一般では、まあ、賢いとは言わない気がしますね。
 ご自身が違うと仰る事について否定するつもりは無いのですが、深夜呟いて居られるのを見て、私から見たらおお、仲間だと見えたわけです。

@Azuma_Matsu
 そうですか。共感はできませんが仰ることはおそらく理解できたと思います。
 ところでもし私のTLを見ていらっしゃるなら、コンテンツ文化史学会でのご自身の「大東亜共栄圏」発言について、正式に謝罪すべきではありませんか。
 もちろん私たちではなく、芝村さんがその言葉で→

/*/

 ……ツイートの関係上、大東亜共栄圏とかは関係のない、芝村さんの定義によるバカの部分もまとめるしかなかったのだろう。
 これはかなり単純な話である。要するに芝村さんは、世間的には馬鹿にしか見えないようなことに夢中になって、大人げなく本気になっているゲーマーを尊敬しているのである。
ここでのバカというのは褒め言葉のほうのバカであり、バカをはべらすというのは、そんなバカと一緒にいるほうがいい、という意味である。

 いや、そんなもん読めば分かるわい。と思うかもだが、なんかこー、大東亜共栄圏のまとめの冒頭にこの部分が入っているせいで、
悪いほうのバカやはべらすに取っている人がいるんじゃないかと。そのへんが気になったのである。一応、自分は芝村作品のファンではあるわけで、このへんがどうにも気になるのだ。

 芝村さんのバカの意味が、ゲーマーを(悪いほうの意味で)バカにしているという誤解は、あまりにも分かり易い誤解であり、ファンとしてはこのへんは解いておきたいと思う。
 というわけで、以下、芝村さんが過去に発言した、芝村的な意味でのバカに関する記述や発言を、根拠として提示する。

/*/

今から未来では、バカは、掛け値なしのほめ言葉である。我々は、そうであるように、努力せねばならない。
 人のために進んで損が出来るもの、自分が信じてそれを貫けるもの、嘘をつかずに生きるもの、いずれも、褒めてやってもいいと思う。

 (2005年12月18日 小説の一文より)

・「むろん俺のゲームでバカと言えば、それは最高の褒め言葉なのだ。
 それより上は何もない、人があこがれ、心に描く理想は、そいつが本当にいれば、そいつは常識からバカと言われるだろう。だから俺は、亜細亜がバカであることを歓迎している」

 (2008年12月13日 小説の一文より

@siva_yuri:
 そして今日も難題を待つ。話題でも可。
@siva_yuri:
 ここ数年、真剣に遊んでないなぁ。。。っつーか、タダの暇つぶしじゃなくて遊ぶ、ってどうやるんだっけ?
 学生のころは下らないことでもすごく面白かった気がするのに。っていう不感症を治すのはどうすればいいでしょうか。 ですか。
@siva_yuri
 物事を楽しく、面白くやるにはバカにならないといけません。
 バカとはなにかと言うと、馬鹿正直のことであり、熱中してやってる様のことであり、同時に大人げない本気のことを言います。
@siva_yuri
 このうち熱心さが足りないのなら、他の二つで補って、熱心さを取り戻していかないといけません。
 つまりはこうです。 馬鹿正直にやれ。 大人げない規模でやれ。 と。
@siva_yuri
 大人げない規模でやって馬鹿正直にやってるとですね。心に火がともります。
 心の火をともすには、バカが一番。 友人もバカ取りそろえると良く燃えますよ。延焼して自分も燃えます。 逆に友人が直ぐにバカにするようなら、火なんかつきませんね。
@siva_yuri
 バカを周囲にはべらして、盛大に時間と金と技術を突っ込んで、嘘ごまかし一切なしで勇敢にやってれば、そりゃ心に火もつきます。
 あとはそれをやる勇気と覚悟があるかだけです。 以上説明終わり。
 (2012年7月30日 ツイッターより)